少量危険物と少量危険物未満の危険物は?~有機溶剤を少量保管する際の注意事項~

少量危険物と少量危険物未満の危険物は?~有機溶剤を少量保管する際の注意事項~
少量危険物と少量危険物未満(指定数量1/5未満)の保管

皆さん、こんにちは!有機溶剤情報局のまっすーです。

本日のテーマは有機溶剤の少量危険物についてです。

企業で有機溶剤や塗料、インク、加工油などの危険物を使用する場合、ほとんどの場合危険物倉庫が必要になります。

これは消防法で定められており、特に有機溶剤はほぼ全て引火点を持っているため、消防法の第4類引火性液体に該当しており、危険物倉庫を必要とする場合が多いです。

しかし、有機溶剤を含む危険物を少量しか扱わない場合、少量危険物または少量危険物未満として扱うことができます。

本日は少量危険物の考え方について解説していきます。

少量危険物について解説する前に、消防法が何かわからない方は以下の記事を参照して下さい。

消防法とは? 有機溶剤と消防法 わかりやすく

少量危険物とは?

まず消防法における有機溶剤の扱いと危険物について少しおさらいしましょう。

消防法上の危険物の分類

消防法では以下のように危険物に6つの区分があります。

危険物の区分(消防法)
名称状態
第一類​酸化性固体​固体​
第二類​可燃性固体​固体​
第三類​自然発火性物質及び禁水性物質​固体または液体​
第四類​引火性液体​液体​
第五類​自己反応性物質​固体または液体​
第六類​酸化性液体​液体​

このブログでは有機溶剤について解説していますが、有機溶剤は第4類の引火性液体に該当しています。

消防法の指定数量

また、第4類の引火性液体では指定数量という数量が定められています。

これはそれぞれの分類で保管できる量を定めています。

第4類引火性液体の指定数量
品名引火点性質指定数量
特殊引火物​-20℃以下​50L
第1石油類​21℃未満​非水溶性​200L
水溶性​400L
アルコール類​11~23℃程度​400L
第2石油類​21~70℃未満​非水溶性​1000L
水溶性2000L
第3石油類70~200℃未満非水溶性2000L
水溶性4000L

消防法は火災の危険のあるものに対して規制したり、取締りをする法律のため、引火性の高いものほど指定数量の値は低くなります。

少量危険物とは

少量危険物とは、消防法による規制を受けない少量の危険物のことを言います。

一般的には指定数量の1/5以上、指定数量未満のことを指します。

少量危険物の保管には基本的に消防署への届け出が必要になります。

参考に指定数量の1/5の数量を以下に掲載します。

指定数量の1/5
品名引火点性質指定数量指定数量1/5
第1石油類21℃未満非水溶性200L40L
水溶性400L80L
アルコール類11~23℃程度400L80L
第2石油類21~70℃未満非水溶性1000L200L
水溶性2000L400L
第3石油類70~200℃未満非水溶性2000L400L
水溶性4000L800L

指定数量の1/5以上の数量がどのくらいの数量であるのか、具体例を見てみましょう。

わかりやすい例:灯油の保管

灯油は第二石油類のため、指定数量の1/5は200Lです。

灯油タンクが20L入るとすると、灯油タンク10本以上の数量を保管する時は少量危険物の扱いとなります。

最近の例:消毒用アルコールの保管

最近ではコロナ禍により消毒用アルコールを保管している人も多いかと思います。

消毒用アルコールの場合、アルコール類ですので、指定数量の1/5は80Lです。

一斗缶1缶を16Lとすると、5缶以上の保管をする場合に少量危険物の扱いとなります。

危険物の数量の考え方

このあたりで、指定数量や指定数量の1/5を起点として、危険物のことがわかりづらくなってくるので、指定数量を起点として以下のように考えます。

危険物の数量の考え方

①指定数量以上(消防法)

➁指定数量の1/5以上~指定数量未満(少量危険物)

➂指定数量の1/5未満(少量危険物未満)

①の指定数量以上の危険物については消防法による規制を受けるため、消防署への届け出が必要になりますし、消防法で定められている保管設備が必要になります。

今回は➁➂について解説しますので、まずは➁の少量危険物についてもう少し詳しく見ていきましょう。

少量危険物とは一般的に指定数量1/5以上、指定数量未満のことを言い、保管する場合は消防署への届け出が必要。

少量危険物と指定数量以上の危険物の違い

そもそも少量危険物と指定数量以上の危険物は定められている所が違います。

指定数量以上の危険物の扱いは消防法で定められています。

一方、少量危険物(指定数量の1/5以上、指定数量未満の危険物)は地方自治体の条例で定められています。

注意して頂きたいのは、少量危険物は条例で定めれているため、住んでいる地域の条例によって内容が若干異なります。

参考に2つの地域の条例を見てみましょう。

愛知県名古屋市の例

愛知県名古屋市では少量危険物を「名古屋市火災予防条例」という条例で定めています。

興味のある方は以下のリンクから全文を参照してください。

名古屋市火災予防条例

引用元:名古屋市火災予防条例

こちらでは少量危険物を指定数量の1/5以上、指定数量未満と定めています。

これが一般的な少量危険物の解釈のラインとして認識されています。

また、保管(貯蔵)においては以下のように書かれています。

少量危険物の保管・貯蔵(名古屋市) ※一部抜粋

•みだりに火気を使用しない

•常に整理及び清掃を行い、不必要なものを置かない。

•危険物が漏れたり、飛散しないようにする。

•保管容器は破損、腐食、裂け目などがないものである。

•転倒、落下、引きずりなど、衝撃を加える行為をしない。

•地震などによる、転落、転倒など損傷を受けないようにする

この部分だけ見ると危険物倉庫が必要ないかにも見えますが、他にも技術的な基準が書かれています。

いずれにせよ少量危険物を取扱い・貯蔵する場合は届け出が必要になるので、消防署の確認をして安全に保管できるようにしましょう。

北海道紋別市の例

次に北海道紋別市(もんべつし)の例を見ていきます。

北海道紋別市では少量危険物を「紋別市火災予防条例」で定めています。

興味のある方は以下がわかりやすい資料だと思いますので参照してください。

少量危険物の取扱及び運用基準

引用元:紋別地区消防組合

紋別市では個人住宅と法人等の事業所で少量危険物の範囲が違います。

少量危険物の範囲(北海道紋別市)

個人住宅の場合:指定数量の1/2以上~指定数量未満

会社等の事業所の場合:指定数量の1/5以上~指定数量未満

会社等の事業所で保管する場合は、標準的な少量危険物の範囲と同じですが、個人住宅の場合、少量危険物未満の範囲が広くなるように設定されています。

少量危険物未満の保管は消防署の届け出なしに保管できるため、北国で灯油を多く使う地域ならではの条例だと思います。

つまり、一般家庭では500L未満の灯油が届け出なしに保管できるということになります。

一般家庭でも上の画像のような灯油タンクを設置している所もあるようです。

少量危険物は地方の火災予防条例によって定められており、地方の条例により内容が異なる場合がある。

少量危険物未満の保管

最後に、➂指定数量の1/5未満(少量危険物未満)の保管について解説します。

指定数量の1/5未満については消防法にも、地方の火災予防条例にもかかりません。

つまり、特に規制を受けず保管ができるということになります。

過程で灯油の保管、消毒用アルコールの保管、度数の高いお酒の保管を消防署に届け出することなく保管できているのは少量危険物未満の保管に規制がないためです。

先ほどの灯油と消毒用アルコールの例で言うと、以下の数量であれば無届で保管できます。

灯油:200L未満(20L灯油タンクを10本未満)

消毒用アルコール:80L未満(16L入り一斗缶を5缶未満)

しかし、保管する際には保管する場所に注意が必要です。

少量危険物未満:危険物の保管

身近な例で考えて頂きたいのですが、皆さんであれば灯油の入ったポリタンクをどういった場所に保管しますか?

各家庭によって保管場所は異なると思いますが、大抵は以下の場所だと思います。

・玄関

・押し入れやクローゼットなどの収納スペース

・洗面所

・灯油ストーブが設置されている室内

皆さんが灯油タンクを置いている場所も温度が上がり過ぎず、直射日光が当たらない場所だと思います。

これが消毒用アルコールであろうと、塗料用シンナー、パーツクリーナー、燃料用アルコールであろうと同じです。

間違いなく高温になる場所(キッチン周り、屋外の物置、直射日光が当たる場所)には置かないようにしましょう。

少量危険物未満(指定数量の1/5未満)の保管は届け出が不要で、過程で灯油や消毒用アルコールを保管するように保管できる。

少量危険物、少量危険物未満の保管 まとめ

上記で説明した少量危険物、少量危険物未満の保管についてわかりやすくまとめておきます。

危険物の保管について

①指定数量以上

消防法により規制される。消防署に届け出が必要。保管庫に基準がある。

➁指定数量の1/5以上、指定数量未満(少量危険物)

地方の条例(火災予防条例)により規制される。一般的には消防署に届け出が必要。

➂指定数量の1/5未満(少量危険物未満)

指定数量の1/5未満であれば届け出不要。冷暗所に保管。

ただし、前述したように少量危険物は地方の火災予防条例で定められているため、必ず該当の地方の条例を確認するようにしてください。

条例によっては少量危険物未満の範囲や少量危険物を保管するために必要な設備要件等が変わる場合があります。

少量危険物、少量危険物未満とは?(Youtube:有機溶剤情報局まっすーチャンネル)

消防法はそれなりに事業規模が大きく、有機溶剤をはじめとした危険物を使用して行う事業に携わる企業が関連します。

しかし、今回説明した少量危険物と少量危険物未満(指定数量の1/5未満)の理解については一般家庭や小規模事業者でも役に立つ知識だと思います。

このブログを通して、少しでもわかるようになったということであれば幸いです。

今回の少量危険物、指定数量の1/5未満についてはyoutubeの内容を元に作成しています。

※youtubeの内容では若干違った内容も解説しています。

興味がある方は動画を閲覧ください。