有機溶剤の廃棄方法~有機溶剤と産業廃棄物について~

有機溶剤の廃棄方法 有機溶剤と産業廃棄物について

皆さん、こんにちは!有機溶剤情報局のまっすーです。

本日のテーマは「有機溶剤の処分方法」についてです。

有機溶剤の業界にいると、「有機溶剤の廃液をどのように処分したらいいですか?」「余っている有機溶剤を下水に流してもいいですか?」というような処分方法にお困りの方からお問い合わせを頂きます。

実際、有機溶剤や有機溶剤を含んだ混合物を販売しているメーカーの営業も、自社の製品のことは理解していても廃棄方法まで把握しているケースは多くありません。

なぜなら、最終的に処分方法は廃棄される廃液の状態によるためです。

今回は一般的な内容の有機溶剤の廃棄方法、産業廃棄物区分についてご紹介しますが、自治体や産業廃棄物処理業者によって判断が変わることがありますので、予めご注意願います。

その前にそもそも有機溶剤が何かわからない方は以下の記事から読むことをおすすめします。

有機溶剤とは? 有機溶剤を日本一わかりやすく解説 有機溶剤情報局

廃棄物の区分とは

そもそも廃棄物がどのような区分で分かれているかをご存じでしょうか?

一般的には以下のように分かれています。

ゴミ=廃棄物のことを指しますが、そこから「産業」と「一般」で分かれていることがわかります。

まずは、「産業」と「一般」の廃棄物の違いについて見ていきましょう。

廃棄物の区分とは?

産業廃棄物とは、会社において事業を通じて出るゴミ(廃棄物)のことです。

金属加工をしている会社であれば、金属片や加工をするための機器が摩耗した部品、ゴムを加工している会社であれば、ゴム片、ゴムを練るときの添加剤などが当たります。

それぞれの会社や行っている事業ごとに出てくる廃棄物は違いますが、これらは全て廃棄物処理法の中で決められています。

一方、一般廃棄物とは、家庭ごみや会社でゴミ箱に捨てているような家庭ごみと変わらないもののことです。

廃棄物の区分をわかりやすく図式化すると以下のようになります。

有機溶剤は産業廃棄物

一般廃棄物と産業廃棄物の違いが分かれば、有機溶剤をどちらで捨てるのかが分かります。

有機溶剤は、会社の事業を通じて排出される廃棄物ですので、産業廃棄物に当たります。

この産業廃棄物には、廃棄物処理法に基づいて20種類の品目が指定されており、以下となります。

 

種類
(1) 燃え殻​
(2) 汚泥​
(3) 廃油​
(4) 廃酸​
(5) 廃アルカリ​
(6) 廃プラスチック類​
(7) ゴムくず​
(8) 金属くず​
(9) ガラスくず、コンクリートくず​  および陶磁器くず​
(10) 鉱さい​
(11) がれき類
(12) ばいじん​
(13) 紙くず​
(14) 木くず​
(15) 繊維くず​
(16) 動植物性残さ​
(17) 動物系固形不要物​
(18) 動物のふん尿​
(19) 動物の死体​​
(20) 上記に該当しないもの

ちなみにこの20種類は覚える必要はありません。

ご自身が廃棄したいものが何に当たるのかが、この記事全体を通して理解いただければ幸いです。

産業廃棄物と特別管理産業廃棄物の違い

上の画像では、産業廃棄物の先に特別管理産業廃棄物というものがあることが分かります。

特別管理産業廃棄物は産業廃棄物の括りではありますが、産業廃棄物よりも廃棄と管理が厳しく、処理費用が高くなります。

特別管理産業廃棄物には以下のような項目が当てはまっています。

 

種類
廃油(引火性廃油)​
廃酸(強酸)​
廃アルカリ(強アルカリ)​
感染性産業廃棄物​
廃PCB等​
PCB汚染物​
PCB処理物​
廃水銀等​
及びその処理物​
廃石綿等​
有害産業廃棄物​

上の表を見て頂くとわかるように、産業廃棄物よりも危険性が高いものが特別管理産業廃棄物に該当していることが分かります。

ここでは、産業廃棄物と特別管理産業廃棄物の違いについて下のような画像のイメージをざっくりと持っていただければ問題ありません。

廃棄物には産業廃棄物と一般廃棄物があり、事業で出るゴミは産業廃棄物に当たる。また、産業廃棄物には処理費が高く、管理が厳しい特別管理産業廃棄物がある。

廃棄物の区分とは?

ここからは有機溶剤の廃棄をするにあたり、具体的な廃棄物区分について解説していきます。

大きく分けて以下2つの違いがわかるようになることが重要です。

産業廃棄物 重要な2つの区分

①産業廃棄物 廃油

②特別管理産業廃棄物 引火性廃油

それぞれの区分の定義を確認して理解を深めましょう。

廃棄物の区分の定義

産業廃棄物処理法に従って確認すると、産業廃棄物(廃油)と特別管理産業廃棄物(引火性廃油)は以下のように定義されています。

産業廃棄物 区分:廃油

第一条の二 令第二条の四第一号の環境省令で定める廃油は、次に掲げるものとする。
一 タールピッチ類
二 廃油(前号に掲げるものを除く。)のうち、揮発油類、灯油類及び軽油類を除くもの

特別管理産業廃棄物 区分:引火性廃油

揮発油類、灯油類、軽油類

(引火点が70℃未満の燃焼しやすいもの) ※廃棄物処理法には明記されていない。

上記では、産業廃棄物(廃油)と特別管理産業廃棄物(引火性廃油)の明確な違いが分かりづらいかと思いますので、以下の図で簡単に説明します。

ポイントは廃液の引火点です。

引火点が70℃以上であれば、産業廃棄物の廃油に区分されますが、70℃未満の場合は引火性廃油と見なされます。

具体的な商品で分けると以下のような図になります。

私たちが私生活で手にすることができる有機溶剤は引火点が70℃未満であることがほとんどなので、ほぼ特別管理産業廃棄物の引火性廃油に当たると考えましょう。

アルコールであれば、IPA(イソプロピルアルコール)やエタノールは引火性廃油です。

ケトン系の中にアセトンも含まれますし、MEK(メチルエチルケトン)、MIBK(メチルイソブチルケトン)が引火性廃油となります。

一方、第三石油類の有機溶剤(プロピレングリコールやNMPなど)や有機溶剤ではありませんが加工油は廃油扱いとなります。

あくまで上記は理論上区分が分けられているということに注意してください。

最終的には産業廃棄物の収集運搬・処理業者が廃液を分析したうえで、処理区分を判断します。

補足:特別管理産業廃棄物の定義

特別管理産業廃棄物の定義には、対象物として揮発油類、灯油類、軽油類と書かれています。

※揮発油類とは、ガソリンやガソリンに近しい成分となるもののことです。

この定義では、アルコールやエステル、ケトンなどの有機溶剤が対象にならないように思えます。

しかし、アルコールの廃棄の見解に対して、大阪府のサイトで以下のように紹介されています。

上記の上から3行目に、「法令上は、揮発油類、灯油類及び経由類が特別管理産業廃棄物の廃油に該当し、アルコール類は該当しません。」と書かれています。

また、そのあとに「実務的には、法の趣旨に鑑み、引火点概ね70℃未満の絵企業を呈する廃油を特別管理産業廃棄物の「引火性廃油」として取り扱っています。」と書かれています。

つまり、特別管理産業廃棄物の引火性廃油の定義に当てはまらなくても、引火点70℃未満であれば引火性廃油として見なしてよいという解釈ができます。

このことからケトンやエステルなどの他の有機溶剤も引火点70℃未満のものは、特別管理産業廃棄物の引火性廃油に当たると言えます。

有機溶剤の廃棄は基本的に特別管理産業廃棄物の引火性廃油に当たる。産業廃棄物の廃油か特別管理産業廃棄物の引火性廃油を見分けるには引火点が70℃を超えるかどうかで判断する。

化学品の産業廃棄物があるときにすべきこと

実際に事業を通じて化学品の産業廃棄物がある際にすべきことをご紹介します。

まず第一に、有機溶剤を含む産業廃棄物があるのであれば、有機溶剤(廃油、引火性廃油)が処理できる産廃業者に相談しましょう

産業廃棄物収集運搬、処理業者と言っても上の産業廃棄物の種類の所で示した通り、様々な分野に分かれています。

全ての産業廃棄物業者が化学品の処理ができるわけでもなく、化学品を処理できる産業廃棄物業者が有機溶剤を処理できるわけではありません。

わかりやすく言うと、それぞれの業者にできること・できないことがあり、得意・不得意があります。

ここでは実際の産業廃棄物の例を示し、どういうフローで判断されるのかを説明していきます。

実際の産業廃棄物

化学品の産業廃棄物を廃棄する際は、1種類の廃棄物だけになることは多くありません。

例えば、有機溶剤を廃棄しようとするとき、有機溶剤1種類だけでなく、有機溶剤を使用して溶かしたり、洗浄したりするものが中に溶け込んでいます。

上の画像のように、有機溶剤の種類も様々あり、溶け込む汚れも機械油や塗料・インク・接着剤など様々で、それらの状態や組み合わせによって廃液の性質が変わることがあります。

シンナーやアセトン単体では引火性廃油として見なせても、塗料や接着剤が溶け込みすぎて半硬化している場合は別の区分として判断される可能性もあります。

産業廃棄物の区分判定

産業廃棄物の業者は、廃液の中に何が溶け込んでいるかを確認した上で、それがどの廃棄区分に当たるかを判定します。

前の章の内容をざっと図式化すると以下のようになります。

有機溶剤を含む産業廃棄物では、「有機溶剤」の種類とそこに含まれる「汚れ」から産業廃棄物と特別管理産業廃棄物のどの区分に該当するかを判定します。

そのため、産業廃棄物業者に依頼をするときは必ず何が含まれているのかを伝えるようにしましょう。

産業廃棄物業者も廃液を持ち帰って分析しますが、事前に情報を与えてあげた方がより丁寧です。

上記の例であればシンプルに引火性廃油としての判断が下されるかと思いますが、有機溶剤として塩素系溶剤が含まれていたり、汚れや他の成分としてアルカリや酸が含まれていると判断が大きく変わる可能性があります。

有機溶剤の廃棄には、有機溶剤以外の汚れが混ざることが多く、その汚れによって廃液の性質が変わるため、必ず産業廃棄物業者に確認するようにする。

有機溶剤の廃棄方法(Youtube:有機溶剤情報局まっすーチャンネル)

有機溶剤の廃棄方法についてよくわからないという方が多いのではないでしょうか。

これは業界関係者でないと知りえないことが多く、ほとんどの人が経験則で身に着け、代々口頭による教育で受け継がれてきたためだと思います。

私も業界に入ったばかりのころは、有機溶剤の廃棄方法についてほとんどわかっていませんでした。

上記はあくまで基本的な内容ですし、私自身、産業廃棄物の事業に携わる人間ではありませんので、最終的な判断は業者に委ねるということを念頭に置いて頂ければ幸いです。

今回の有機溶剤の廃棄方法はyoutubeの内容を元に作成しています。

興味がある方は動画を閲覧ください。