SDS(安全データシート)とは?有機溶剤のSDSをわかりやすく解説!

SDSとは? 安全データシートとは? わかりやすく

皆さん、こんにちは!有機溶剤情報局のまっすーです。

本日のテーマはSDS(安全データシート)についてです。

過去の記事で消防法や引火点、有機溶剤中毒予防規則(有機則)、特定化学物質障害予防規則(特化則)について解説してきましたが、

「有機溶剤が数ある中で、物性や関連法規情報をどう確認すればいいのか?」

と疑問に思われる方も少なくないと思います。

今回はこれらの情報を確認するための書類、SDS(安全データシート)について解説していきます。

消防法や引火点、有機則等については過去の記事を参照してください。

有機則とは? 有機溶剤中毒予防規則とは?
消防法とは? 有機溶剤と消防法 わかりやすく
引火点とは? 有機溶剤と引火点 わかりやすく

SDS(安全データシート)とは?

SDSは、Safty Data Sheet(安全データシート)の略で、化学品の有害性や物性、関連法規について書かれた書類です。

かつては、MSDS(Materiar Safety Data Sheet、化学物質等安全データシートとも呼ばれていましたが、2011年から国際的な呼び方に合わせるべく、SDSという言い方に統一されました。

私の経験上、今でもSDSのことをMSDSと言う方がいますが、化学業界に長く従事している人が呼び方を訂正せず使い続けているか、単にMSDSとSDSの違いを理解せずに使っている方が多い印象です。

MSDSからSDSになった流れが書かれている厚生労働省のページがあるので、詳しく知りたい方は以下を参照してください。

化管法SDS制度

引用元:厚生労働省

SDSとは、Safty Data Sheet(安全データシート)の略で、化学品の有害性や物性、関連法規について書かれた書類のこと。

SDSはどのような時に使う?

有機溶剤において、SDSは以下のような場合に使われます。

  • 有機溶剤の基礎データ(物性)が知りたい。
  • 有機溶剤の有害性(毒性)が知りたい。
  • 有機溶剤を使用する際の注意点が知りたい。
  • シンナーや溶剤系洗浄剤の成分が知りたい。
  • その溶剤がどんな法律に掛かっているか知りたい。
  • 万が一、火災や溶剤の流出、目に入ってしまった場合の対策が知りたい。

有機溶剤に関する基本的な情報(主に安全に関する情報)が見れる資料なので、有機溶剤について気になることがあればまずはSDSを見てみるのもいいでしょう。

SDSは化学品(有機溶剤)の安全性や基本的な性質について知りたい時に参照される。

SDSを入手する方法

SDSは、通常化学製品を製造するメーカーが作成します。

単体の有機溶剤であっても、シンナーや洗浄剤のような複数の有機溶剤の混合品でも同様です。

SDSの情報を確認したい場合は、以下の2つの方法(代表的な方法)で確認が可能です。

SDSの取得方法

①メーカーへ依頼(単体溶剤、混合品どちらも)

SDSを公開しているメーカーもありますし、問い合わせフォームからや担当営業に問い合わせないと貰えないケースがあります。

参考:単体溶剤のSDSを公開しているメーカー 三協化学

※サイトマップの有機溶剤名をクリックすると、SDSダウンロードリンクがあります。

②厚生労働省「職場のあんぜんサイト」で確認(単体溶剤のみ)

単体溶剤であれば、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」で確認できます。

混合溶剤の場合は、メーカーしかデータを持っていないので、厚生労働省のサイトにはありません。

SDSは①メーカーへ依頼するか、②厚生労働省「職場のあんぜんサイト」で確認できる。

SDSを入手する際の注意点

SDSが欲しい場合は、基本的にメーカーに請求するようにしてください。

化学品メーカーとして、ユーザーにSDSを交付することは責務です。

既に商品を購入している場合、SDS交付を断られることはありません。

SDSを入手する際に一点、気を付けて頂きたいことがあります。

単体溶剤のように、複数の化学品メーカーが扱っている商品の場合、SDSを入手する際は、購入先のメーカーから取得するようにしてください。

一般的な化学品であれば、ネット上で誰でも取得できるようになっているものもありますが、購入先からSDSを取得することで、緊急連絡先を知ることができます。

厚生労働省の職場のあんぜんサイトに掲載されているSDS情報では、緊急連絡先がありません。

また、購入してもいないメーカーのSDSを参照していて、緊急時にそのメーカーに連絡しても対応することができませんので、入手方法が面倒であったとしても、SDSはメーカーから貰うべきです。

SDSは、その商品のメーカーから受け取るようにする。(単体溶剤、洗浄剤、シンナー等全ての商品)

SDS(安全データシート)の項目

安全データシートの項目は2021年時点で以下の15の項目があります。

※JIS Z 7253:2019に基づく項目

SDSの項目

1. 化学品及び会社情報

2. 危険有害性の要約

3. 組成及び成分情報

4. 応急措置

5. 火災時の措置

6. 漏出時の措置

7. 取扱い及び保管上の注意

8. 曝露防止及び保護措置

9. 物理的及び化学的性質

10. 安定性及び反応性

11. 有害性情報

12. 環境影響情報

13. 廃棄上の注意

14. 輸送上の注意

15. 適用法令

それぞれ項目通りの内容が書いてありますが、何も知識のない人がいきなり読もうとしても恐らく読めないと思います。

項目に何が書いてあるかについては、経済産業省のページにまとめられています。

化管法SDS 標準的な書式(JIS Z7253対応版)

引用元:経済産業省

以下の画像はSDSの一部ページを抜き出したものです。

文字や記号だらけで何が何だかわからないのではないかと思います。

ちなみにこちらはトルエンのSDSを例にしましたが、全ページで10ページもあります。

単体溶剤のSDSは比較的短い方ですが、それでも約10ページはあります。

シンナーや洗浄剤のような混合溶剤になると約15ページはあります。

私はこれを全て細かく見ていく必要はなく、ポイントを押さえて読むことができればよいと考えています。

その読み方については次回以降で解説していきます。

上記画像のトルエンのSDSリンク

引用元:三協化学 トルエン SDS

SDSは全部で15項目あり、文字や記号、専門用語が多く、初心者には読むことが難しい。

SDSとは?(Youtube:有機溶剤情報局まっすーチャンネル)

このブログの内容はYoutubeの内容を元にして書かれています。

Youtubeの内容はSDSの基本的なことについて端的に解説しています。

動画におけるSDSの解説シリーズは全部で6つあります。

6つ全て見て頂ければ、SDSとは何か、読み方、各項目の意味、読むときに注意すべきことなどがざっくりとわかるようになっています。

興味がある方は動画を閲覧ください。