SDS(安全データシート)の読み方①~有機溶剤のSDSの読み方をわかりやすく解説~

SDSの読み方① 誰でも簡単にSDSを読む方法

皆さん、こんにちは!有機溶剤情報局のまっすーです。

本日のテーマはSDS(安全データシート)の読み方についてです。

SDSは文字情報や専門用語が多く、普通の人が知識もないまま読もうとしても読めません。

そもそもSDSを見て、あまりの文字情報の多さに読む気すら起きない人が多いのではないかと思います。

その証拠にSDSを渡したお客様から、SDSに書いてあることを質問されたことが何度もあります。

SDSを読む人の立場によっても押さえておくべきポイントも変わってくるので、この記事では私の我流のSDSの読み方をお伝えしていきます。

SDS(安全データシート)とは何かがわからない人は前回の記事を参照してください。

SDSとは? 安全データシートとは? わかりやすく

そもそも有機溶剤が何かわからない人は以下。

有機則とは? 有機溶剤中毒予防規則とは?

SDS(安全データシート)の項目

前回の記事のおさらいになりますが、SDS( JIS Z 7253:2019 )には以下の15項目があります。

SDSの項目

1. 化学品及び会社情報

2. 危険有害性の要約

3. 組成及び成分情報

4. 応急措置

5. 火災時の措置

6. 漏出時の措置

7. 取扱い及び保管上の注意

8. 曝露防止及び保護措置

9. 物理的及び化学的性質

10. 安定性及び反応性

11. 有害性情報

12. 環境影響情報

13. 廃棄上の注意

14. 輸送上の注意

15. 適用法令

15項目という時点で非常に多いように感じると思いますが、実際に1つのSDSを見て頂くと、ますます読む気が失せると思います。

以下はトルエンのSDSを1枚の画像に収まるように並べたものです。

文字情報が多すぎて、画像からでは何が書いてあるかわからないと思います。

何の準備もしないままSDSを読むことが如何に無謀かわかります。

トルエンのような単体溶剤のSDSは10ページと比較的少ない方です。

シンナーや洗浄剤になると、複数の有機溶剤が1つの製品に含まれますので、15-20ページほどあります。

SDSを端から端まで全て読む必要はありません。

それぞれ見る人の立場によってポイントを押さえることがSDSをスムーズに読むコツです。

上記画像のトルエンのSDSリンク

引用元:三協化学 トルエン SDS

SDSは全部で15項目あるが、全て読む必要はなく、読む人の立場によってポイントを押さえて読むことが重要である。

SDSを読む項目は人の立場による

ここではSDSを読む項目は人の立場によるということについて解説していきます。

あくまで私の持論であることに留意ください。

私が考える立場とは、以下の2つです。

①化学製品を売る側(代理店、販売店等)

➁化学製品を使うユーザー

化学製品を売る側は、化学製品を販売するうえで最低限必要な知識のみを押さえておけばよいですが、化学製品を使うユーザーは実際に使用する際の注意点や有害性について理解しておく必要があります。

ただし、ここで述べているのは企業が化学製品を使用する場合の注意点です。

例えば、一般の人がアセトンやシンナー等を日常的な用途で使用するために、わざわざSDSをメーカーから取り寄せて、読まなければならないかというとそれは必要ないと思います。

一般の人が使う分には製品の注意書きを読んで使用する程度で十分ですし、有機溶剤の場合は、①換気をして、高濃度を長時間吸い込まないこと、②火気厳禁、➂手に付かないようにするなど簡単な対策と知識で十分だと思います。

化学製品を売る側とユーザーでSDS上の押さえる項目数が変わる。一般のユーザーは、製品の注意書きを読んで使用すれば対策は十分可能。

SDSで読むべき項目

ここでそれぞれの立場によって、SDSの読むべき項目を整理します。

①販売者側は販売する上での基礎知識や注意事項を押さえておく必要があります。

➁ユーザーは基礎知識と使用上の注意を押さえておく必要があります。

この2者間には最低限必要な共通知識があるのですが、私は「販売上の注意(基礎知識)=最低限必要な共通知識」だと考えています。

上記のことをまとめると、

①販売者

最低限必要な基礎知識(画像の共通知識の部分)

画像では別になっていますが、販売上の注意=共通知識とします。

➁ユーザー

使用上の注意と共通知識の2つの理解が必要です。

販売者、ユーザーともに必要だと考えている項目は以下の5つです。

SDSの最低限知っておくべき5項目

1. 化学品及び会社情報

2. 危険有害性の要約

3. 組成及び成分

9. 物理的及び化学的性質

15. 適用法令

この記事では「 1. 化学品及び会社情報 」「 2. 危険有害性の要約 」「 15. 適用法令 」について解説していきます。

販売者はSDSの最低限必要な5項目の知識を知る必要がある。ユーザーはその5項目の知識+使用上の注意を知る必要がある。

SDSの読み方と注意点

前置きが長くなりましたが、ここからはSDSの読み方を解説します。

SDSの全てを読み、記憶する必要はないので、どのポイントを押さえればよいかという説明をしていきます。

ここでは先ほど例に出したトルエンのSDSを使用しますので、以下からダウンロードしてポイントを確認してください。

トルエンのSDSリンク

引用元:三協化学 トルエン SDS

1. 化学品及び会社情報

まずは、「1.化学品及び会社情報」(画像赤枠部分)についてです。

この部分では化学製品の名称、製造メーカーの情報、用途等について書かれています。

化学品の名称

上記はトルエンのSDSですが、「化学品の名称」項目において「純トロール」となっていますので、このメーカーでは「トルエン=純トロール」と呼んでいることがわかります。

シンナーや洗浄剤の場合、その製品名が「化学品の名称」になっています。

会社名、緊急連絡先等

SDSを扱う注意点として、必ず商品を購入したメーカーのSDSを使用するようにしてください。

「1.化学品及び会社情報」 には製造メーカー名と緊急連絡先が書かれています。

化学品を使用する際に万が一のトラブルがあった際に、問い合わせ先を把握しておくことは非常に重要です。

単体溶剤の場合、別の会社のものを参照することもできますが、トラブルがあった際に問い合わせても、その商品を製造したメーカーではないので対応できませんし、単に迷惑をかけることになります。

「1.化学品及び会社情報」では、商品を購入したメーカーのSDSであることを確認し、緊急連絡先を把握しておく。

2. 危険有害性の要約

次に、「2.危険有害性の要約」 (画像赤枠部分) についてです。

ここでは文字通り、その化学品を使用する際の有害性の概要、使用・保管・廃棄・救急処置についての注意事項等が書かれています。

危険性・有害性の区分

「危険有害性の要約」は化学品の有害性について短時間で把握するのに役に立ちます。

危険性・有害性が確認されている項目について、区分1~区分5というレベルが設定されています。

危険有害性区分とは、数字が小さいほど有害性が高いということを指します。

トルエンの場合、以下のような危険有害性があります。

※クリックすると表が展開されます。

項目区分
引火性液体区分2

項目区分
急性毒性(吸入:蒸気)区分4
皮膚腐食性・刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性区分2B
生殖毒性区分1A
生殖毒性・授乳に対する又は授乳を介した影響追加区分
特定標的臓器毒性(単回爆露)区分1(中枢神経系)
区分3(気道刺激性、麻酔作用)
特定標的臓器毒性(反復曝露)区分1(中枢神経系、腎臓)
誤えん有害性区分1
項目区分
水生環境有害性 短期(急性)区分2
水生環境有害性 長期(慢性)区分3

それぞれ危険性、有害性が書かれていますが、トルエンは生殖毒性、特定標的臓器毒性 (単回爆露)における中枢神経系への影響、 特定標的臓器毒性(反復曝露)における中枢神経系、腎臓への影響、誤えん有害性が高いことがわかります。

例えば、シンナー中毒の脳への影響はトルエンの中枢神経系の影響が原因の一つと言えます。

SDSの区分に関する詳細は、以下が参考になると思います。

安全データシートの簡単な見方・解説

引用元:印刷インキ工業連合会

絵表示またはシンボル

続いて、絵表示またはシンボル部分にはシンボルマークというマークがあります。

シンボルマークには以下のような種類があります。

赤い四角で囲ってあるものが有機溶剤のSDSで見かけるシンボルマークです。

シンボルマークを見て直感的に何となくわかるようなものもありますが、腐食性や感嘆符のものは個人的にわかりづらいと感じます。

それぞれ以下のような意味を持っています。(シンボルマークを〇〇マークと言っていますが、正式な呼び方ではありません。上記画像と照合しながら確認してください。)

シンボルマーク意味
引火性液体
急性毒性(区分1~3)
金属腐食性物質
皮膚腐食性・刺激性(区分1A-C)、
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性(区分1)
急性毒性(区分4)、 皮膚腐食性・刺激性(区分2)、
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性(区分2A)、
皮膚感作性、特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)(区分3)
水性環境有害性
呼吸器感作性、生殖細胞変異原性、発がん性、
生殖毒性、特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)(区分1~2)、
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)、吸引性呼吸器有害性

上記のシンボルマークの意味を見てもらえばわかるように、有害性区分が理解できていればGHSマークを覚える必要は特にないです。

シンボルマークは有害性区分の数字によっても変わる場合があります。

詳しくは以下の厚生労働省のサイトに載っていますので参考にしてください。

GHSのシンボルと名称

引用元:職場のあんぜんサイト 厚生労働省

危険有害性情報

危険有害性情報は危険有害性区分やGHSマークで見たような、その化学品の危険性が箇条書きで書かれているだけです。

化学品のリスクをざっと把握したい時は、危険性区分を見ればわかるので、個人的には読み飛ばす部分です。

注意書き

ここには安全対策、救急処置、保管、廃棄に関する注意が書かれています。

初めて化学品を使用する際は、ざっとでもいいので使用前に目を通しておいた方が良いです。

化学品によって書かれていることが若干変わりますが、有機溶剤においては、どの溶剤も同じようなことが書かれているので、この項目も個人的には読んでいません。

「2.危険有害性の要約」では、化学品の有害性を確認する。区分は数字が小さいほど危険性が高い。

15. 適用法令

次に適用法令について解説します。

適用法令にはその名の通り、化学物質や混合物(塗料、インク、シンナー、洗浄剤等)などが該当している法令を記載しています。

例えば、有機則(有機溶剤中毒予防規則)、特化則(特定化学物質障害予防規則)、PRTR法等の該当可否はこの適用法令で確認することができます。

有機溶剤の場合、適用法令には以下の項目があります。

項目項目
労働安全衛生法大気汚染防止法
労働基準法PRTR法
消防法船舶安全法
毒物劇物取締法海洋汚染防止法
悪臭防止法

有機溶剤、洗浄剤を使用する前にそれがどの法律に該当するのか把握するようにしておいた方がいいです。

SDSの読み方とは?(Youtube:有機溶剤情報局まっすーチャンネル)

このブログの内容はYoutubeの内容を元にして書かれています。

SDSの読み方はシリーズ化していまして、全部で6動画あります。

(以下の2つの動画はこのブログの元になった動画です)

一通り見て頂くことで誰でもSDSの読み方がわかるようになりますが、私の我流の読み方・解釈も入ってしまっているので、予め理解いただいたうえで参考にしてください。

今後この記事以外に全てのSDSシリーズの動画を記事にしていきます。

動画よりも文字の情報の方がいいという方は、こちらのブログを参照頂ければと思います。

本記事は有機溶剤に関わる全ての人に向けて書いていますが、Youtubeの内容は有機溶剤の営業向きで作られています。(より簡潔にしています)

興味がある方は動画を閲覧ください。

次の記事は以下から参照できます。

SDSの読み方② 組成・成分情報 化学的性質を読む方法