皆さん、こんにちは!有機溶剤情報局のまっすーです。
本日のテーマは有機溶剤中毒予防規則についてです。
有機溶剤を使用・取り扱いする会社や人にとって、有機溶剤中毒予防規則に関する理解は非常に重要です。
今回は有機溶剤中毒予防規則をわかりやすく解説していきます。
有機溶剤についてわからない方は以下の記事を参照してください。
もくじ ※クリックするとジャンプします。
有機溶剤中毒予防規則とは?
有機溶剤中毒予防規則とは、通称「有機則(ゆうきそく)」とも呼ばれ、
簡単に言うと、「有害性の高い有機溶剤を使うなら、ちゃんと管理してね」という規則です。
有機則は法令のため、指定されている有機溶剤を使っている場合は、決められたルールを守ることが義務となります。(詳しくは後に説明します。)
よく間違いやすいのが、有機則の対象となる有機溶剤を使っている場合、その有機溶剤を使ってはいけないと思われている方がいますが、それは違います。
守るべきルールを守れれば、そのまま使い続けられますが、ルールを守れない場合は使えなくなるということです。
ちなみに、冒頭で有機則のことをかなり嚙み砕いて端的に説明しましたが、有機溶剤中毒予防規則は法令のため非常に読みづらく、理解しづらいためです。
参考に法令文が載っているリンクを貼っておきますので、興味のある方は読んでみてください。
きっと挫折すると思います…。
有機溶剤中毒予防規則(通称:有機則)とは、有害性の高い溶剤を使用する場合のルールが定められた法令のこと。
有機溶剤中毒予防規則のルール
では、具体的にどんなことが守るべきルール(義務)として定めれているのでしょうか?
いくつか代表的なものを挙げてみます。
- 有機溶剤作業主任者の選任
- 従業員への有害性の周知
- 年2回(半年に1回)の有機溶剤健康診断実施
- 年2回(半年に1回)の作業環境測定実施
- 局所排気装置の設置
- 呼吸用保護具(全体換気の場合)
他にもありますが、これだけでも有機則該当の溶剤を使用するだけで、非常に管理の手間が増えることがわかると思います。
既に管理体制のできている事業者であれば問題ないのですが、これから有機則に該当した溶剤を使っていこうとする事業者にとっては、コスト増にもなります。
一部の義務事項について少し詳しく見ていきます。
●有機溶剤作業主任者の選任
有機溶剤作業主任者とは、有機溶剤を扱うにあたり、有機溶剤の知識を持った人がその他の労働者を管理するリーダー的な役割の人のことです。
有機溶剤作業主任者は、有機溶剤作業主任者技能講習を受け、合格した人がなることができます。
技能講習を通じて、有機溶剤の業務の遂行や管理に必要な基礎知識を学びます。
有機溶剤作業主任者技能講習は2日間の技能講習です。
最寄りの会場へ出向き、2日間講習を受けた後、最終日の2日目にテストをし、合否が出ます。
一度取得してしまえば、更新はないのですが、責任者になれるような人を2日間講習に出さなければならないため、人数の少ない企業にとっては大変な痛手になります。
● 年2回(半年に1回)の有機溶剤健康診断の実施
有機溶剤のための健康診断を年2回(半年に1回)行う必要があります。
一般的な会社員は年に1回定期健康診断を受けていますが、それとは違います。
有機溶剤健康診断とは、有機溶剤に関する項目を調べるための健康診断です。
具体的に言うと、専門性が高くなってしまうのですが、必須事項として以下が挙げられています。
1.業務の経歴の調査
2.有機溶剤による健康障害の既往歴の調査
→有機溶剤による自覚症状および他覚症状の既往歴の調査、尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査に係る既往の検査結果の調査等
3.有機溶剤による自覚症状または他覚症状と通常認められる症状の有無の検査
4.尿中の蛋白の有無の検査
5.使用中の有機溶剤に応じた、指定の検査項目
参考:「有機溶剤を正しく使いましょう」厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
改めておさらいになりますが、有機溶剤中毒予防規則の対象となる溶剤は使用を禁止されているわけではありません。
しかし、使用するには上記のことをしっかりと把握したうえで労働者を管理し、労働者が安全に働くための費用が掛かります。
有機溶剤中毒予防規則に該当する溶剤を使用するには、管理手間とコストがかかる。
有機溶剤中毒予防規則の対象溶剤(2021.8最新)
有機溶剤中毒予防規則に対象となる溶剤は全部で45種類あります。
有機則の対象溶剤は有害性(毒性)が強い順に第一種有機溶剤、第二種有機溶剤、第三種有機溶剤の3つに分類されています。
それぞれ以下のような物質が該当しています。
・1,2-ジクロロエチレン
・二硫化炭素
・アセトン
・イソブチルアルコール(イソブタノール)
・イソプロピルアルコール(IPA)
・イソペンチルアルコール(イソアミルアルコール)
・エチルエーテル
・エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)
・エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)
・エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)
・エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)
・オルトジクロロベンゼン
・キシレン
・クレゾール
・クロロベンゼン
・酢酸イソブチル
・酢酸イソプロピル
・酢酸イソペンチル(酢酸イソアミル)
・酢酸エチル
・酢酸ブチル
・酢酸ノルマルプロピル
・酢酸ノルマルペンチル(酢酸ノルマルアミル)
・酢酸メチル
・シクロヘキサノール
・シクロヘキサノン(アノン)
・1,4-ジオキサン
・N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)
・テトラヒドロフラン(THF)
・1,1,1-トリクロロエタン
・トルエン
・ノルマルヘキサン
・1-ブタノール
・2-ブタノール
・メタノール
・メチルエチルケトン(MEK)
・メチルシクロヘキサノール
・メチルシクロヘキサノン
・メチルノルマルブチルケトン
・ガソリン
・コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)
・石油エーテル
・石油ナフサ
・石油ベンジン
・テレビン油
・ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット、ミネラルターペンを含む。)
※ミネラルスピリットは別名が多く、名称が全く異なっていても成分・性質上はほぼ同等の物質です。
有機溶剤中毒予防規則の対象溶剤を知るためによく参照されるのが、「有機溶剤を正しく使いましょう(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)」にあるリストです。
このリストでは54種類の物質と書かれていますが、リストが古く、一部の発がん性のある物質が特定化学物質障害予防規則(特化則)に移行しています。
また、ネットでも「有機溶剤中毒予防規則(有機則)」と調べた時に、企業のHP上で有機則のリストを掲載しているのですが、大抵がこのリストを参照しているので古いままで、54種類として紹介されています。
有機溶剤中毒予防規則の対象溶剤は45種類(2021年8月時点)
有機溶剤中毒予防規則の実際
ここからはQ&A方式で私が営業した際の体験に基づいたぶっちゃけた話をします。
有機溶剤中毒予防規則とは?(Youtube)
このブログの内容はYoutubeの内容を元にして書かれています。
本記事は有機溶剤に関わる全ての人に向けて書いていますが、Youtubeの内容は有機溶剤の営業向きで作られています。(より簡潔にしています)
興味がある方は動画を閲覧ください。
有機溶剤中毒予防規則の法令文